不妊の原因は、男女ともに原因があり半々だと言われていますが、実際にはどうでしょう?原因は半分であっても、要因は女性の方が多いのではないでしょうか。つまり女性の方が負担が多いと言えます。
生殖における男性と女性の役割は異なり、性交から妊娠に至るまでの過程も男性に比べて女性の方が多くの段階を要します。このため、女性の不妊に対する負担は決して半々とは言えません。
排卵された卵子が受精し分割、着床するには染色体も正常であることが必須ですが、成長するための栄養を蓄えていることも必要な条件です。
卵子は排卵されるまで約一年ほどかけて、卵巣の中で成長します。その成長の過程でいかに栄養をたくさん取り込むかで、その卵の生命力が決まります。
排卵された卵子は細胞分裂を繰り返し着床してからも12週までは蓄えられた栄養を元に成長します。とても膨大なエネルギーが必要です。
この栄養状態の良い卵を育てることを目的としたのが、この育卵鍼灸です。
栄養というのは血液によって卵巣まで運ばれます。卵巣の血管は非常に細く、あの円盤状の赤血球が一つ通れるほどのサイズです。それほど細い血管ですから血流が悪くなると栄養も十分に運ばれなくなります。その血流をいかにして良くするのか?
私が所属している『JISRAM:日本生殖鍼灸標準化機関』では、陰部神経刺鍼という臀部に鍼刺激を加える方法で、採卵数の増加。また、鍼灸と低反応レベルレーザ-を体表から卵巣部に照射することで、採卵した受精卵が胚盤胞まで育つ率が上昇したという結果がでています。
当院でも、採卵数の増加と良好な胚盤胞の獲得を目的として、
低反応レベルレーザー(スーパーライザー)→ 卵の栄養素の取り込みを促す
この2つの方法を併用しています。
着床のための鍼灸とは、受精卵が子宮での着床を促し、妊娠を継続させる事を目的とした治療です。
着床するには、ある程度の内膜の厚さが必要です。一般的には7o以上あれば問題ない言われており、10o前後あれば理想的です。この厚さもまた血流が影響してきます。子宮は内膜の脱落と増殖を繰り返す月経という現象が約28日周期で行われます。
この内膜のサイクルが正常に機能しないと着床しにくい原因にもなり、
以上の条件が整うことで着床に結びつくと考えられます。
鍼灸ではこのサイクルが正常に機能するように、最低でも1周期、移植周期の前の周期からこの治療を開始する必要があります。
こちらも『JISRAM:日本生殖鍼灸標準化機関』で推奨されている、中?(チュウリョウ)穴刺鍼と呼ばれる方法を施す事で、子宮を栄養している動脈の血流が良くなることが実証されています。
また、鍼灸と低出力レベルレーザーの使用により、免疫寛容という現象が起こり、ご主人の精子と受精して出来た受精卵に対して、本来なら異物として処理されてしまう反応を和らげ受け入れやすい状態になることも実証されています。
タイミング、人工授精、体外受精、どの段階でも最低1週間に1回の治療が必要となります。
基本的に月経周期(約28日間)で
月経・卵胞期(増殖期)・排卵・黄体期(分泌期) と、女性の身体の中では7日ごとのホルモン変化により、子宮、卵巣とも絶えず変化をしています。
鍼灸もその変化に沿った治療が必要となりますので、1週間に1回の通院間隔となります。
また、低反応レベルレーザーの効果も3〜4日で徐々に低下してきますので、こちらも効果を期待するのであれば、1週間に1回の治療が必要です。
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